花は越後の。。。

「花は越後の 花は越後の 雪椿」と言えば、小林幸子さんの代表曲。
新潟出身の私は、冬になると、椿を見ると、この歌が脳内ヘビーローテーションとなる。

椿の花って、たぶんみんな知っていて、いろんな商品やレトロなイメージに使われてるし、
縁起の悪い花、という云われもたぶん有名だし、
でも、実はそんなに注目される花でもないと思うんです。
特に舞台で使う、ということにおいては。
バラみたいな分かりやすさはないし、桜みたいな華やかさはないし。

その椿をテーマにしようとした、理由。

2004年の秋に、新潟では大きな地震がありました。
当時私は東京にいて、実家も震源地よりはかなり北にあるので、実質被害らしい被害も無く、
個人的にはそれほど負担のかかる出来事ではなかったのですが、
いろんなものが壊れて、無くなって、つながらなくって、
自粛ムードになったり、イベントやお祭りが中止になったりしました。

その年の年末、約2カ月ぶりに復旧した上越新幹線で帰省しました。
珍しく平地の実家でもそれなりの雪がある冬でした。
実家の庭で、雪囲いされた雪椿が、囲いの隙間から一輪、花をのぞかせていて、
それがとてもとてもきれいでした。

(当時の携帯カメラのクオリティなんてこんなもんですねw)
こんなに大変なことがあって、こんなに雪が降っているのに、
ちゃんとこの椿は花を咲かせている。
偉いなぁ、って思って。

この時の気持ちを何とか、何かに出来ないものかと。
と思いながら、機会も無くて温めてばかりだったのですが、
2008年に友人が企画するショーに参加することになり、ようやく日の目を見ることになりました。
(2008年9月「色即是空」。今から思うとすごい豪華なショーでした。)
椿だけでは構成しづらいので、かわりゆく季節を表現するために、桜を添えました。
冬に雪の上に花を散らす椿から、春に頭上に満開の花を咲かせる桜へ、
手品は季節の早送りを自在にできるから、便利です。

ちなみに、このショーの参加条件が「オリジナル曲で新作演技を作ること」というもの。
作曲家さんに演技や衣装のイメージなどを伝え、あまり注文をつけずにお任せしたところ、
デモ段階で雰囲気がぴったりなものができて、ものすごく感激したことを覚えています。
ちなみに、とってもさり気なく初音ミクが歌ってくれているパートがあったりしますw

私にとって、この演技は郷土愛、みたいなものです。
それを、自分の好きな日本的な手法で表現したものです。
季節はちょっと違いますが、冬から春の、季節と心の動きを感じてもらえたらなぁと思います。

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category: 由来カタリ